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10000冊プロジェクトに参加するため、ブログを立ち上げました。読んだ本の感想とか、つらつらあげます。

書評その12:「バンド・オブ・ザ・ナイト」

『バンド・オブ・ザ・ナイト』
著者:中島らも
発行日:2000/5/24
評価:★★★☆☆
所要時間:3時間
読破冊数:12/100冊


■こんな人におすすめ
・ダメ人間を疑似体験したい
・詩とかを読むのが好き
・自分の語彙力を高めたい


■概要
学生時代に読んだ小説ですが、この間友人が酒に酔って持ち物一式をなくした、という話を聞いて、ふと思い出して読み直してみました。


といってもこの本、ヒッピーくずれの主人公が飲むのは酒ではなく薬物。睡眠薬から覚醒剤マリファナなど様々な薬に手を出しては仲間と「ラリる」日々。友人以上にどうしようもないやつだなぁと思うけども妙に憎めない。一応相手に対する気遣いもできるし、仕事も主人公なりにちゃんとやるからなんだろうなぁ。


この本の最大の特徴は主人公がトリップしたときの表現方法です。素面の時は読みやすい文章で書かれているのに、トリップしたとたんに、
「そしておれは襲いかかる。トマホークで、果物ナイフで、義手で、鉄パイプで、三日月で、一陣の風で、ロンドンブーツで、歌声で、、、」
なんて、いきなり謎の世界に放り込まれるわけです。こんな調子で数ページ続くもんだから集中して読むほどこちらも酩酊したような気分になりそう。


学生時代はトリップ表現のために支離滅裂なこと書いてるんだな、と思ってました。しかし、文庫版の巻末で解説をしている町田康によれば、きちんと計算されており、「不明確な言葉はただの一語もない」んだそうな。


町田さんは解説の中で人生は素面でやっていかないと駄目だと言ってます。全くその通り。異論も認めない。ただ、その町田さんが読後に「いや、そうでもないかもしれんなぁ」とか思っちゃったこの本は実は危険な小説かも。


■この本から学んだこと
・人生は素面じゃないといかん!(友人への戒め)


≪目次≫
省略