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書評その18:たたかいの社会学

タイトル:『たたかいの社会学
著者:ましこ・ひでのり
発行日:2000/7/15
ページ数:310ページ
評価:★★★☆☆

≪目次≫
はじめに
1 なにと「たたかう」のか
2 競争/ゲームのパラドクス
3 相対評価=序列主義の逆説
4 業績原理の背後の官僚制、大量生産、社会ダーウィニズム
5 あいてを自分の中の土俵にあげる
6 擬似的生物学イメージによる秩序
7 やくわり秩序
8 優先順位 おいこし、わりこみ、まちぼうけ
あとがきにかえて


われわれ人類は「たたかい」から逃れられないーよく聞きそうなフレーズですが、それを社会学の観点から語った本です。


一文が長くなりがちで、難しいこと言ってる部分もありますけど、専門用語は比較的少ないし、あっても解説はちゃんとあるので一般向けに書かれたものなのは間違いない。というか、あとがきでも「一般書を目指してかきおろした。」って言ってる。


社会を構成する色んなものが、人間を「たたかい」の場に引きずり出している。この本で出てくる例は日本の時事が多いけど、人間社会はどこもそんなもんですよね。


人間が行う「たたかい」の相手は色々で、
・職場や学校での嫌いなやつ
・実力が拮抗してるライバル
・目の前のタスク
・過去の記録
・自分の弱い心
・病気
などなど、形あるものないもの様々です。


別に悪いことじゃないし、よい結果が生まれることも多いんだけど、やっぱ疲れちゃうよね。。。っていう気持ちもある。
筆者も「たたかい」ばかりの世の中は快く思っていないようで、その必要性に疑問符を打つような問いかけがちらほら。かといって世の中の「たたかい」を減らすような方法が提示されているわけではないです。
しかし、世の中にあふれている「たたかい」だとか既存システムの構造を分析し、その実態をまとめることで、中には行う理屈が通らない「たたかい」もあることを教えてくれます。そういう「たたかい」と日々向き合っている人に対しては「頑張る必要なくなーい?」っていう軽い気持ちを持たせてくれるんじゃないかな。


まとめ
・(少なくとも日本の)社会は「たたかい」にあふれている。
・でも、たたかいの根源になっているものを見ると、そんなに大したものじゃない
・一部の声の大きい人達が目立った結果、今の社会構造がある。深い考えの上に作られたものじゃない。だから、この構造を守る必要もない。
・気楽にいきましょ、気楽に


たたかいの社会学―悲喜劇としての競争社会

たたかいの社会学―悲喜劇としての競争社会